1. TOP
  2. NEWS
  3. マディソンブルー×エストネーション <RECONSTRUCTION~Over the collection> アップサイクル プロジェクト 開発秘話

NEWS

4月 8, 2025

マディソンブルー×エストネーション <RECONSTRUCTION~Over the collection> アップサイクル プロジェクト 開発秘話

JOURNAL



中山まりこ氏(マディソンブルー デザイナー/ディレクター)×
エストネーション 藤井かんな(エストネーション ウィメンズ チーフディレクター)
ファシリテーター 古泉洋子氏(ファッションエディター)

2025年3月11日にローンチされたマディソンブルーとエストネーションのアップサイクル プロジェクト<RECONSTRUCTION~Over the collection>。マディソンブルーのメンズのジャケットとジレを、女性が今のバランスで羽織れるように共同開発しました。


タグには本プロジェクトのスペシャルネーム「REVIVRE(リヴィーヴル)」を表記。フランス語で再び体験するという意味を持つ。

この画期的なプロジェクトはどのように生まれ、形となっていったのか、本プロジェクトへの思いやプロセスを、マディソンブルー デザイナー/ディレクターの中山まりこ氏と、エストネーション ウィメンズ チーフディレクター 藤井かんなが語り合いました。

古泉洋子さん(以下古泉):サステナブルへの意識が⼀般に定着するなか、エストネーションでは「One Small for Smile」プロジェクトを継続して行われていますね。活動内容を伺えますか。

藤井:まずはできることからやってみようと、2022年からスタートしました。店頭で不用になったハンガーやビニールカバーを回収して資源化したり、オフィス環境でも消灯時間を決めて省エネをしたり、ゴミ分別も正しく行い再利用できるようにするなど、本当に身近なことから始めました。自社製品は環境に配慮した素材の自社定義を策定して採⽤するよう目標設定しながら取り組んでいます。今後2030年に向けては、さらに3つの軸を掲げて取り組んでいます。

古泉:具体的にどのようなことなのでしょうか。

藤井:廃棄物の資源化、温室効果ガス排出量の削減、そして今回のプロジェクトに関わる資源循環の構築です。この点は意識しましたが、もう少し身近な⾃分たちの感情や思いから自然発生的に生まれたものでもあります。

古泉:マディソンブルーでは、サステナブルに関して考えていらっしゃることありますか。

中山まりこさん(以下中山):私自身、ものを捨てずにリユースすることは、⼩さい頃からやっていました。だから当たり前のことなんです。例えばクリーニングのビニールカバーも捨てるのが嫌で。会社に持参して「なんかあったら使って」と。スタッフは基本同じ意識を持っているけれど、会社という集団になると多少ばらつきがありますよね。だから声に出していくほうがいいとも思っています。


マディソンブルーのディレクター/デザイナーの中山まりこさん。ブランドのアイコンであるシャツに、プリーツスカートを合わせて。

古泉:関わる人数が多くなると、温度感も違うこともありますよね。

中山:トイレで手を洗った後に使う紙とか無駄だなぁと。でもコロナ禍からは、タオルを⼀⽇1回洗うだけでは衛生観念的に難しくなった。友人を招くときもタオルだと違和感あるだろうな、と。でも1回ごとのミニタオルにしたら、今度は紙とどちらがCO2が出ないのか。会社である前に個⼈だからすごく気になります。

藤井:サステナブルという意味ではセールしないという方針も、ずっと前からですよね。

中山:ものを捨てることは好まないですが、そもそもセールをしないのはサステナブルを意識したわけではなく、あとで欲しいと思ったときのために、同じものを用意しておきたかったのです。3年前のアイテムだったり、履き潰して同じもので新しくしたいというケースを考えて。ただブランドスタート時と10年後の今では、「セールしません」という発信も受け止められ方も変わってきたと感じています。

古泉:確かに社会の状況も大きく変化していますよね。今回のプロジェクトはメンズのストックを、⼥性⽤のアイテムにアップサイクルされたのですね。どのような経緯で始まったのでしょうか。


エストネーション ウィメンズ チーフディレクター 藤井かんなも、マディソンブルーのシャンブレーシャツを着用。

藤井:準備を含め、⾜掛け1年くらい前からでしょうか。コロナによって、1回立ち止まっていろいろなことを考えました。ファッションはすごいスピードで常に鮮度を求める側面がありますが、今は単純に多くのものを⽤意してという時代でもないし、本当に長く⾃分たちが愛せるものについてあらためてすごく考えたんです。⾃分のクローゼットはもちろん、ショップを⾒渡したときにすでに潤沢にものがある。シーズンごとに新しい提案をしているわけですが、販売する商品が100%お客様の⼿元に渡ることが難しいという現状もあります。であれば、すでにあるものを何か⼿を加えたりすることで、さらに素敵なものにできるかもしれないと。新しく⼀から⽣み出す責任も考えさせられていたこともあり、もしかしたらそういうことが叶えば、解決策の一つにもなるように思って。そう思ったときに、真っ先に思い浮かんだのがマディソンブルーでした。

古泉:マディソンブルーでは、コーディネート提案で旧作に再び光を当てる「タンジェリン」の発信もされていますよね。

藤井:マディソンブルーのシャツは個人的にもたくさん持っているのですが、ずっと着ています。やっぱりそういうブランドなので、この企画は検討してもらえるかもしれないなと思って、お声がけしたんです。

古泉:リクエストがあって、中山さんはどう感じましたか。

中山:そういう考え方はすごく好きなんです。私自身、手持ちの服が飽きてきた時、切ったり縫ったり、昔から結構やっていたので。デニムのシルエットが古く感じたら、細くなるように脇を縫ったりね。ミシンは不得手なんだけど。⾃分の感覚が変わってきたり、時代の流⾏りに沿ってリメイクしてたから。今回のアイディアは違和感なく賛同できるものでした。でもレディースからレディースのアップサイクルだと足し算になりがち。だからメンズをレディースのバランスでつくり変えるのは⾯⽩いなあと思って。


学生時代、山積みのセール品をまのあたりにし、自分がデザインした服の末路に不安を覚えたという中山さん。そういった体験もあり、最初はスタイリストの道へ。

古泉:最初から、メンズからレディースへのリクエストだったんですか?

藤井:ご相談したとき、まりこさんからメンズからというアイディアは提案していただきました。でも実は私もそれがいちばんやってみたいことだったんです。もともとメンズアイテムが好きで。メンズの服を⼥性が着たときに独特な色気が生まれますよね。そういう意外な新しいバランスを求めてもいて。マディソンブルーは原点がシャツですし、テーラードジャケットなどつくりを含めて本格的で、基本の発想がメンズ的でもあるので。


「ずっと愛せる服とはどういうものなのか、あらためて深く考えました」という藤井。この日のシャツも長く愛用しているものだという。

古泉:その出発点がこのプロジェクトが魅力的に仕上がっている理由でもありますね。実際の制作はどのように進めたのでしょう。

中山:二人でサンプルを試してみながら「これ、こうなってたらいいんじゃない?」とラフにキャッチボールしつつ、始めましたね。発注、依頼みたいな堅いことではなくて。そこはスムーズだったけど、じゃあ誰がつくるのかと(笑)

藤井:その過程でこのジャケットだったら、肩を出して、ギュッとつまんだら良さそうとか、身幅がもう少し細かったら良さそうとかね。

中山:残ってる在庫を確認しながら、手を入れるメンズのアイテムを決めて。でもサイズを女性用に正しく合わせていくとつまんない。だからあえて直した感を残したいよねと。そこはお互いに共通の認識でしたね。袖まで全部ほどいて直しちゃうと、アップサイクルじゃなくてリフォーム感が出ちゃう。




製作時のように、試着しながらの対談に。ジャケットのウエストをギュッと絞っることで、ドレッシーな雰囲気を持たせた。

藤井:肩のラインを残しながらシェイプを出していったら、今、女性が着たいバランスになるのではないかと。最初からつくろうとしたら、こんなにワイドな襟とかつくらないし、つくろうとしない。身頃にたわみが出たりしているのは、メンズだからこそのシルエットなんですよね。

古泉:このジャケットはレディースでも同じ形があったんですか? メンズだともう少し素材感が固いようなイメージです。

中山:男女で変わっちゃうんですよね、普通は。でもマディソンブルーはメンズとレディース、同じようにつくっているんです。たぶんそこもおもしろいんだと思います。たぶん男女両方扱うブランドで同じアイテムをつくっていることは少ないから。しかもレディースからメンズへ発展させているので、それも男性からすると新鮮なはず。これもウチならではだと思います。


ジャケットは全3型。高密度で織り上げたイタリア製リネンを使ったジャケットは、バックスタイルにダーツを施し、それを立体的なディテールとして採用。各¥175,000

古泉:おふたりとも服好きならではアプローチが込められてる感じはありますね。

中山:私たち、好きなものが似てるんですよね。

藤井:たぶん好きな⼥性像も。私は昔の俳優だと、シャーロット・ランブリングが好きですね。独特のドライな感じもありながらセンシュアルもあって。まさにシャンブレーのシャツが似合いそう。

中⼭:私も60年代に活躍した俳優が好き。

古泉:普通の製品と違って、サンプルをつくるわけではないので、何度も試作はできないですよね?

藤井:アップサイクルできるものが限られているので、失敗できない。こうしたいという思いはあるけれども、実現できる⽅を探す宿題が⼤きかったです。それでエストネーションの⽣産担当を介して、裏地や芯地など服の構造をしっかりと理解している方々に相談できたことで、極⼒切り刻まず、いじりすぎずに形にできました。

中山:ドキドキだったよね。

藤井:もともとのつくりや素材が良くないと、あとから手を加えたりもできないと痛感しました。そういう意味でもマディソンブルーのクオリティだったから、実現できたと思います。


ジレは1型、3色展開。後ろ身頃にシルク素材をドッキングさせて生地のたわみを持たせており、女性が素肌やタンクトップの上から着ることを想定。各¥95,000

古泉:中⼭さんが普段、具体的な服作りをする上で技術的なブレーンはいらっしゃるんですか。

中山:3、4年前から私より年齢も上で、尊敬する技術を持っている男性にアドバイスをいただいています。クオリティがぐっと良くなりました。量産する上では技術の⼈の能⼒もすごく⼤事です。工場、生地、縫製…やっぱりチームワークの仕事なんですよ。これやりたい、やりたいと思いが高まっても、それを叶えてくれる⼈がいないと、お客様のもとまで届けられないから。

古泉:だからこのアップサイクルも原型を生かして、最⼩限で最⼤の効果を出されているんですね。

中山:あんまり⼤げさに手を加えてしまうと、その服本来が持っているおもしろさがなくなって、違うものになったらいけないとは思っていました。

古泉:⼥性がオーバーサイズの服を着る流れは定着しつつありますが、⼀般にはまだハードルは⾼いのかなと思うんですけど。お二人自身はどうでしょう? 顧客の方もすでにボーダーなく取り⼊れられている感じでしょうか。

藤井:⾃分⾃⾝は違和感なく取り入れてますね。お客様も以前に⽐べると抵抗がなくなっているように思います。ただメンズジャケットをそのまま取り入れるのは、まだハードルが高そうです。メンズでもフーディーやTシャツは、男性のお客様と⼀緒にショッピングする際に知っていただくことも増えました。それからレディースフロアで、ドレスにメンズのジャケットを合わせたコーディネート提案をディスプレイしていたのですが、それをご覧になって、実際袖を通してみたいという方もいらっしゃいましたよ。


今はすべての狭間の時代と感じるなど、ファッション業界の現状も語り合った。ファッションにはワクワクする何かが必要、と思いを同じくした。

中山:私も若い頃からメンズの服を着てましたね。お客様はあえてメンズを選ぶ人はいないけれど、シャツなどは自分のジャストフィットのサイズは持っているから、2枚目は違うサイズで少し大きめを選んで印象を変えてみようという方はいますね。

藤井:マディソンブルーはシャツから始まったブランドですから。思えばビッグサイズのシャツを⼥性が着るような流れは、マディソンブルーが確実に⽕付け役でしたよね。

古泉:わかります! ⼥性が服を着るときにサイズ感を吟味することが浸透してきたのは、マディソンブルーの影響が大きいと思います。

藤井:女性のシャツの着方が確実に広がりましたよね。袖や肩を合わせてピタッと着ることもありますし、逆に大きめを着て空気をはらむシルエットにしたり、動きやすさを感じたり。そういう微差を日本の女性がファッションとして楽しむようになったのは、マディソンブルーの功績ですね。

古泉:そのあたりが徐々に浸透してきていたからこそ、今回のプロジェクトも成立したのかもしれないですね。

藤井:重なりあう部分がより⾃然になってきてるのかなと感じています。

中山:今回の取り組みは、とにかく楽しかったですね。メンズのバランスを変えてレディースが着られるようにできたこと。ほどき切らずに少しだけ⼿を加えたのが正解でしたね。このジャケットは女性が着ればウエストが細くなっているから、くびれが強調され、ビッグショルダーが生きる。逆に男の⼈が着たら着たで前は閉まらないけどおもしろくなると思う。ちゃんといいところが残せたことでメンズとレディースの境界線を曖昧になって、⾃由さが生まれました。

藤井:1からつくったら生まれなかったデザインです。一枚の必然のジャケットがあって、そこから偶然も含めて新しいものが⾒出されました。完璧なものを崩していく、新しい何かを加えていくという出発点から始めたことで、違うおもしろさに出会えたと思います。


コートドレスのようにも着られるネイビーのジャケット(¥205,000)のバックスタイルには、取り外し可能な大きなリボンとマディソンブルーのロゴが。

中山:視点を変えることでユニークなものが生まれるのであれば、こういうこともありだと思いました。

古泉:サステナブルのアップサイクルとなると、どうしても義務的になってしまったり、無理を感じる仕上がりも多い。けれど、今回のアイテムは実際着てみたい仕上がりでした。おすすめの着こなしはありますか?

中山:私にそれ聞くとね……好きなもの合わせればいいじゃん!って言っちゃうんですけどね(笑)

古泉:中山さん自身なら、どう着ますか?


袖を通しながら「欲しくなるな……、私買っちゃうかも(笑)」と中山さん。

中山:私が着るならば、バランスを楽しみたいですね。ボトムはボリュームのあるロングスカートかな。このジャケットはウエストを絞ってあるから、コントラストをつけてね。長めのジャケットはミニドレスとしてIラインでまとめたり。

藤井:タキシードライクなジャケットは裾がテールカットだったので、カットオフした袖の生地を使って、後ろ身頃にベンツをつけたんです。打ち合わせしたときにスキーパンツにライディングブーツと合わせてもいいかもと話してましたよね。確かあの日は雨で……。

中山:あ、そうだ! ⾬が降っていて、レインブーツを履いていたのよ。




袖を切りっぱなしにしたエンブレム付きジャケット(¥295,000)は、バックスタイルのワイドな飾りベルトもポイント。

藤井:今回実際プロダクトにしていくことも実験でしたが、この商品がお客様の⼿元に届くところまで⾒届けられるのは、充実感があります。また、やってみたいですね。もともとあった服だからこそ、きちんとお客様の手元に届いて欲しいなと。

古泉:求められるお客様は、とても洋服への愛がある⼈なんじゃないかなと思います。⼀着の服を本当に気に⼊って愛⽤してもらえそうですし、愛が詰まってる感じがしますよね。

中山:ブランドを始めた当初、お店では最後の⼀枚まできちんと売り切るものと思っていたんです。でも「サイズ欠けしたので、この商品は店頭から下げます」と言われて。業界のそういう慣習には今も疑問を抱いています。最後の1点まで愛情を持って売るのが、服を販売する人の使命ではないでしょうか。だから私は絶対それをさせたくない。買ってもらうことは評価ではありますが、つくり⼿も売り⼿も服に愛情を持ってほしいです。買い物は消費活動でありながら、体験でもあると思うので。

藤井:⼼が動かされていたり、共感できたり。そこにお⾦を払っていただいていると思っています。これからは“お買い物”という表現も変化していくかもしれないですね。

古泉:ファッションに携わる者として、ものを⼤事にする⼼とかはずっと持っていたいなと思います。

中山:ものを無駄にしていけないというのは、私の年代ではDNAに普通に備わっていると思います。実際履けなくなったスカートの生地をバービーちゃんの服をつくったり、着られなくなったものは従兄弟なんかに渡すのは当たり前でした。

藤井:譲り渡すことが可能ということは、昔の服はしっかりと仕立てられていたということですよね。

中山:そう。そんなに簡単にはボロボロにはならなかった。もったいないですね、単純に。


エストネーション 六本木点で開催された本プロジェクトのディスプレイでは、マディソンブルーのハンガーをツリーのように重ねて。

古泉:サステナブルも浸透してきたことで、良くも悪くも当たり前になった印象があります。これからさらにファッションが環境に優しくあるために、心掛けていきたいことはありますか。

藤井:堅苦しい意味ではなくて、そもそも⾃分たちが本当にそれを良いと思っているものかどうか。そういう気持ちがあってこそお客様に素直にリレーションできて、共感していただけると思います。バイイングして販売する立場として、当たり前のことをより⼤切にすることをコミュニケーションの軸にしたい。そこが最終的に王道になっていくべき。もちろん企業として課題を掲げ、解決をしていくことは必要ですが、数値的な部分や作業の形だけでクリアしていくのではなく、結局そこが根底にないと付け焼き刃になってしまいます。

中山:ここ数年、ウールの値段が上がっていたり、リネンは採れなくなってきています。気候変動によって、天然繊維がどんどん少なくなってきている。3~4年前のジャケットも、今はもう同じ生地で同じ値段でははつくることができないんですよ。資源がなくなってきたと同時に工場も減ってきたり、職人の⾼齢化もある。ものづくりの危機感を感じています。だからこそ、ものは⼤事にしたいし、きちんと伝えていきたいとも思っています。

古泉:報道では日々の暮らしに密着した⾷材価格の問題などが多いですが、ファッション業界の現状も厳しいですね。

中山:確かに服のつくりすぎはいけないけれど、提供することを⽣業にする身としては難しい問題。考え込んじゃったときもありましたが、⾃分が伝えたいのは洋服を着る喜び。だからメソメソしていてもしょうがない、素敵なものをつくってお客さんに届けたいと思っています。

藤井:次世代の⼈たちへのリレーションも、とても⼤切なことなのかなと。エストネーション全体でも継続していくために、その取り組みも進めています。


左から藤井かんな、中山まりこ氏、ファシリテーターを務めたファッションエディターの古泉洋子氏。

RECENT NEWS

2026/02/02

JOURNAL

FOLK×ESTNATION「Work & Life is Precious」

FOLK×ESTNATION「Work & Life is Precious」

医療×ファッションでつくる、 新しいユニフォームの誕生秘話 ファッションには、単なる装いを超えて、着る人の内面や生き方を映し出す力があります。その力を医療現場で働く女性の誇りやモチベーションにつなげたい―そんな想いから本プロジェクトは始まりました。 医療用ユニフォームを追求し続けてきた「FOLK (フォーク)」と、本質的なラグジュアリーをコンセプトに掲げるESTNATION。異なるフィールドのプロフェッショナルが手を組み、歩んだ2年間の軌跡。開発の舞台裏から、実際に最前線でお客様をお迎えする方々との座談会まで、その歩みを紐解きます。 Work & Life is Precious 今回の座談会のテーマは「Work & Life is Precious」。ファッションの美しさと医療現場の機能性は、どのように融合し、働く女性たちの心を動かすのか。開発に携わった企画担当者と、実際に最前線でお客様・患者様をお迎えする「接客のプロ」たちが集まり、仕事への誇りやユニフォームに込めた想いを語り合いました。 エストネーション ・商品部 部長 多田 かずみ ・六本木ヒルズ店 ウィメンズ担当 松浦 麻衣子 聖心美容クリニック ・六本木院 美容コンシェルジュ 西澤 朋美氏 ・銀座院 美容コンシェルジュ 寺門 彩花氏 フォーク株式会社 ・企画室 伊佐 和佳奈氏 ■ファッションで心を動かす。「本質的なラグジュアリー」とは — 医療とファッション。異業種の両社が手を取り合ったのでしょうか。 多田:私たちが大切にしているのは、「The Essence of Luxury(本質的なラグジュアリー)」というコンセプトです。そこには、「Beauty(美しさ)」「Variety(多様性)」「Excitement(ワクワク)」という3つの要素が含まれています。 単に商品を並べるだけでなく、サービスや接客含めた空間全体でお客様の心を動かし、豊かなライフスタイルを提案することを何よりも大切にしています。 松浦(ESTNATION):六本木ヒルズ店の店頭に立っていて感じるのは、お客様は自分らしい生き方や美意識を非常に大切にされているということです。メインターゲットである40代・50代の方を中心に、最近では30代やご家族連れなど幅広い世代の方がいらっしゃいますが、皆さまに共通しているのは「流行だから着る」のではなく、「自分のライフスタイルをどう豊かにするか」という視点をお持ちだという点です。私たちは、言葉にならないお客様の思いや、「どんな時間を過ごしたいか」「どんな自分でありたいか」という潜在的な願いを汲み取り、その方の人生のワンシーンに寄り添う一着をご提案しています。 ■1年にわたる葛藤を乗り越え、医療というフィールドに踏み出すことを決断 — 今回のコラボレーションプロジェクトは、どのような経緯で実現したのでしょうか。 多田(ESTNATION):正直にお話すると、このプロジェクトが動き出すまでには長い時間を要しました。当初「医療」というキーワードが出たとき、私は非常に緊張し、一度立ち止まってしまったのです。医療は命を預かる神聖で過酷な現場です。そこに異業種であり専門知識がないファッション産業に携わる私たちが、安易に参入してもよいものかと葛藤しました。社内でも議論がありましたが、私は「そこをしっかり咀嚼しない限り、ESTNATIONの名前を入れることはむしろブランド棄損になる」と考え、実はお話をいただいてから1年ほど時間をいただきました。 — そこからどのように気持ちが変化したのですか? 多田(ESTNATION):やはりコロナ禍を得て、医療従事者の方々がどれほど過酷な環境で社会を支えているか、私自身も改めて痛感したことが大きかったです。「過酷な環境で働く方々だからこそ、単なる流行だけでなく、個人の生き方、内面を表現する手段であるファッションの力が必要なのではないか」。そう考え方が変わりました。現場で「美しさ」や「誇り」を感じていただき、働く女性を支援(エンパワーメント)することこそが、私たちがやるべき意義なのだと。これは単なる制服作りではなく、働く女性へのエールなのだと腹落ちした瞬間、このプロジェクトに魂を込めようと決意しました。 伊佐(FOLK):私たちFOLKも「着る人のモチベーションや一体感を生み出す」ことを大切にしてきました。医療現場という制約の多い環境であっても、選ぶ楽しさや美しさを提供したいという想いはESTNATIONさんと完全に一致していました。多田さんがそこまで真剣に「医療」と向き合ってくださったからこそ、ファッションとユニフォーム、それぞれのプロフェッショナルが本気で手を組む、意義のあるプロジェクトになったと感じています。 ■接客のプロが語る「装い」の力。「戦闘着」がスイッチを入れる — 接客や患者様の対応をされる皆さまにとって、身につける「ウエア」はどのような役割を果たしていますか? 松浦(ESTNATION):私にとって、店頭で着る服はある種「戦闘着」のようなものです。バシッと決めたスタイリングでお店に立つと、自分自身の高揚感が高まり、仕事モードへのスイッチが入ります。接客においては「いらっしゃいませ」という言葉を使いますが、心の中では「おかえりなさい」のような、家族や友人を迎えるような温かい気持ちを持つようにしています。でも、お客様に踏み込みすぎず、プロとしての心地よい距離感を保つためには、きちんとした装いという「鎧」が必要なときもあります。自分がその瞬間を楽しんでいるからこそ、お客様にも楽しい時間を提供できるのだと思います。 寺門(聖心美容クリニック):美容クリニックには、楽しみな気持ちで来院される方もいれば、過去に嫌な思いをされて警戒心を持たれていたり、不安や緊張を抱えている方もいらっしゃいます。私たち美容コンシェルジュはクリニックの「顔」として最初に患者様と接します。だからこそ、私たち自身がまず心を整え、安心感を与えられる清潔感や、誠実さを装いで表現することが大切だと感じています。 西澤(聖心美容クリニック):私も同感です。医師には直接相談しづらいことでも、私たちには話していただけるような「相談しやすい雰囲気」を作ることが目標です。「今日も頑張ろう」という前向きな気持ちで患者様をお迎えするためには、身につけるものが大きな力をくれると感じます。着ているユニフォームのデザインが可愛かったり、着心地が良かったりすると、自分のモチベーションが自然と上がります。オン・オフの切り替えという意味でも、素敵なユニフォームに袖を通すことは、プロとしての自覚を呼び覚ます儀式のようなものかもしれません。 ■徹底した「引き算の美学」と「素材革命」。ファッションと機能を融合 — 実際のウエア開発において、こだわった点や難しかった点はどこですか? 多田(ESTNATION):最も苦労したのは、ファッションの自由な表現と、医療ユニフォームとしての厳格なルールの両立です。ユニフォームとしての使いやすさという点で考えると、どうしても外せないルールが存在します。例えば、ポケットの配置や数、工業洗濯への耐久性などです。 デザイン面では、ESTNATIONらしい「ミニマルで洗練された美しさ」を追求しました。あえて装飾を削ぎ落とす「引き算」のデザインです。その中で、最もこだわったのが「お辞儀をした時の美しさ」です。 伊佐(FOLK):接客のシーンではお辞儀の動作が頻繁にあります。今回のESTNATIONさんとのコラボ企画では、日本のおもてなしの美学を象徴するお辞儀の動作にこだわり、美しさだけではない機能美を追求することで、おもてなしユニフォームの「ネクスト スタンダード スタイル」をかたちにしたいと考えました。 胸元が見えない安心感がありつつ、デコルテや顔周りが最も美しく見えるネックラインの深さを、ミリ単位で調整しました。直線に近いギリギリのカーブを描くことで、甘くなりすぎないシャープな女性らしさを表現しています。 また、上半身はコンパクトなデザインですが、背面のウエストに深めのタックを入れる工夫を施しました。このタックが開くことによって、お辞儀をした時に背中が突っ張らず、かつヒップラインが見えすぎないようカバーしてくれます。360度どこから見ても美しく、動きを邪魔しない設計です。 — 機能面についてはいかがでしょうか? 伊佐(FOLK):これはまさに「素材革命」と言える自信作です。着用したときに重さを感じないほど軽く、高いストレッチ性やスポーツ衣料並みの吸汗性を持ちながら、汗じみも目立ちにくい素材を採用しました。 さらにこだわったのは、美しいシルエットを実現する、このふんわりとした素材の膨らみ感です。一般的に丈夫な素材は重みや厚みを感じる場合がありますが、今回は軽量で柔らかく、工業洗濯にも耐えうる強度を実現しました。何度洗っても型崩れせず、毛玉にもならずこの美しいフォルムをキープできるのは画期的だと思います。 西澤・寺門(聖心美容クリニック):一番驚いたのがポケットです! どこにあるのか分からないくらいデザインに馴染んでいるのに、しっかり収納力があるんです。ボールペンなどを持ち歩くので必須なのですが、見た目の美しさを損なわない工夫に感動しました。 伊佐(FOLK):そこはまさに「引き算」と「機能」のせめぎ合いでした(笑)。デザインの切り替え線を利用してポケットを作ることで、機能性を確保しながら、外見上のノイズを極限まで減らしています。 ■業種別の「キャラクター設定」が、ディテールへのこだわりに — 今回のコレクションには、役割に応じたデザインの違いがあると伺いました。 多田(ESTNATION):はい。開発にあたり、クリニック内での業務内容や役割に合わせて「キャラクター設定」を行いました。単にデザインバリエーションを作るのではなく、「誰が、どんなシーンで着るか」を徹底的に想像したのです。 一つは、受付などお客様を最初にお迎えするポジションのための「華やかさ」のあるデザイン。ESTNATIONで最もアイコニックな「ペプラムトップス」を採用しました。ウエスト位置を高めに設定し、女性らしい曲線美を見せつつ、座って業務をする時間が長いため、お腹周りが苦しくない設計にしています。もう一つは、カウンセリングや医療事務などを行うポジションのための「知的でシャープ」なデザイン。こちらは直線的なラインを意識し、院内をアクティブに移動(回遊)することを想定しています。持ち歩くアイテムの違いなども考慮し、ポケットの位置や仕様もそれぞれの動きに合わせて最適化しました。 — 実際に完成したウエアを着用されてみて、いかがですか? 西澤(聖心美容クリニック):とにかく可愛くて、テンションが上がります! 見た目は清楚で上品なのに、着心地は驚くほど軽くて楽です。これなら一日中着ていても疲れませんし、オン・オフの切り替えもしっかりできそうです。カラー展開もネイビー、ベージュ、ブラックとあるので、ベージュなどは患者様に柔らかい印象を与えられそうで素敵だなと思いました。 寺門(聖心美容クリニック):スタッフ同士でも「可愛いね」と言い合えますし、患者様からも「あそこの制服素敵だね」「あのお姉さんみたいになりたい」と思っていただけるような、憧れの存在になれる気がします。着るものでこんなにも仕事へのモチベーションが変わるんだと実感しました。 松浦(ESTNATION):お二人の輝く笑顔を見て、このユニフォームが本当に働く女性の「プライド」や「自信」を支えるものになったと感じました。ESTNATIONのエッセンスが、医療現場でのプロフェッショナルな振る舞いを後押しできることを嬉しく思います。 多田(ESTNATION):2年という歳月がかかりましたが、実際に現場で働く方々が「自分が上がる」と感じてくださることが、私たちにとって一番の喜びです。私たちが提供したかったのは、単なる服ではなく、それを着ることで生まれる自信や誇りだったのだと、今日改めて確信しました。 伊佐(FOLK):FOLKはオフィス・メディカル ウエアと、働く女性の服を作り続けてきましたが、今回のコラボレーションプロジェクト「ESTNATION × FOLK」によって、ユニフォームは新たなステージに進んだと感じています。 ファッションの感性とユニフォームの技術。この2つが融合したウエアが、多くの働く女性の毎日を輝かせ、自分らしく働くための力になることを願っています。 Related media フォーク株式会社 (https://www.folk.co.jp/item/medical/index.aspx) 1/27 Tue.- 2/16 Mon. 六本木ヒルズ店・大阪店 --> --> オンラインストアはこちらから ONLINE STORE --> ※イベントの内容は予告なく変更する場合があります。 あらかじめご了承ください。 ※詳細はスタッフまでお問い合わせください。 お問い合わせは コールセンター TEL:0120-503-971 (11:00~20:00) メールフォームでのお問い合わせ -->

2026/01/30

STORE EVENT

JOHN SMEDLEY / MORE VARIATION

JOHN SMEDLEY / MORE VARIATION

2/7(土)〜2/26(木)の期間中、六本木ヒルズ店にて英国老舗ニットウェアブランド<JOHN SMEDLEY(ジョン スメドレー)>のMORE VARIATIONを開催いたします。この春先にぴったりな、今着たいスタンダードをご提案します。是非この機会にご来店ください。 <JOHN SMEDLEY(ジョン スメドレー)> 1784年創業の英国老舗ニットウェアブランドです。シーアイランドコットン・メリノウール・カシミア・シルクなどの最高級天然素材を用い、職人の高い技術と知識により紡がれる美しく軽量のファインゲージニットは、240年以上にわたり世界中から高い評価を得ています。長い歴史の中で築き上げられた真摯なクラフトマンシップにより、名誉ある英国王室御用達の証「Royal Warrant」の称号を取得。世界遺産にも登録された創業当時から続く世界最古の工場で、現在も世界最高峰のニットウェアを作り続けています。 ※イベントの内容は予告なく変更する場合があります。 2/7 Sat. - 2/26 Thu. 六本木ヒルズ店 --> オンラインストアはこちらから ONLINE STORE --> ※イベントの内容は予告なく変更する場合があります。 あらかじめご了承ください。 ※詳細はスタッフまでお問い合わせください。 お問い合わせは コールセンター TEL:0120-503-971 (11:00~20:00) メールフォームでのお問い合わせ -->