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「New Luxury Manner Book」は
品格と知性をもった大人のためのマナーを提案していきます。
時代とともに進化するマナー。
ESTNATIONのエキスパートスタッフとともに
あたらしい時代のマナーを考えていきましょう。

Vol.10

Bar’s
New Manners

バーのニューマナー

静かでゆったりとした時間が流れる中、美味しいお酒とともに、自分と向き合ったり、大切な人との時間を過ごしたり。そんな大人のための特別な空間であるバーにもさまざまなマナーが存在します。ファッション、カクテルの基本的知識から、立ち振る舞いまで。今回は渋谷の地下に店を構えるバー、「インク カクテルズ」のマネージャー・バーテンダーの森岡賢二さんとともに、新たなバーのマナーについて、考えていきます。夜の街に息づく大人の文化を楽しんでいきましょう。

Wedding New Manners

MANNER

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大場崇弘(以下O):バーと言ってもオーセンティックなバーから街のショットバーまで、格式も種類も色々ですが、一般的にバーにドレスコードはあるのでしょうか? 森岡賢二(以下M):お店によりますね。オーセンティックなバーやホテルバーになると、襟付きはマスト、ジャケットを羽織らないといけないところもあります。インク カクテルズでは、基本的にはドレスコードなしで営業していますが、周りのお客様の目もありますので、短パン、Tシャツ、サンダルなどの軽装は、考えていただけたらとは思います。 O:ドレスコードはないとのことですが、どんな格好のお客様だと気持ちが良いでしょうか? M:スーツやジャケットを着られている方はきちんとされている方だな、と思います。トレンドに合わせたエッジーな洋服を着た若い方もいらっしゃいますが、カジュアルにならない程度なら大歓迎です。エストネーションでは、バーに行く時にはどんなファッションをおすすめされますか? O:大人の夜の場の雰囲気に合うように襟付きのトップス、シャツを着ることはご提案します。ただ、かしこまりすぎず、シルクで艶感を表現したり、デニムを合わせたり、と洗練されたムードのある遊びがあるスタイルが良いと思います。色も黒ではなく、少し洒落たイメージのあるネイビーをおすすめしたいです。ワントーンでまとめていただくと、より大人の雰囲気が出せると思います。服装に気を遣っていることは、お店の方にも伝わりますよね? M:そうですね。お洒落に気を使われている方は、凛として見えますし、私たちも接しやすいです。基本的にきちっとされている方は、お酒を飲んでも最後まできちんとされていますから。

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O:帽子やアクセサリーなどの小物はいかがでしょうか? M:ハットを被って来店される方もいらっしゃいますし、カジュアルにならなければ大丈夫です。ただ、今は東京のバーのグラスは薄張りが主流ですので、指や手元に大きめのアクセサリーをされている方は少し気をつけていただけたら嬉しいです。乾杯でグラスをぶつけるたり、お酒を飲み干した際に氷が落ちただけで割れたりもするので。お怪我されないように気をつけていただければと思います。 O:なるほど。エストネーションとしてもバーでは、派手なアクセサリーは特別つけなくても良い、と思っています。その方が大人のムードを表現できるかな、と思います。ちなみに香水も避けた方が良いでしょうか? M:夜の時間帯なので、皆さん香水をつけられると思いますが、カクテルは香りも楽しめるものですし、私たちも香りを確かめながら作りますので、過度なものは避けていただければありがたいです。周りのお客様への気遣いにもなります。 O:鮨店やフレンチレストランにも共通しますが、周りの方への気遣いある振る舞いは大切ですね。 M:大人の空間ですので、声のボリュームなどに気を遣っていただけたらとは思います。手を叩いて大声で笑うなどは避けて、周囲のお客様を気遣っていただけると、皆さん過ごしやすい空間ができるかなと思います。

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O:カウンターには手をついて大丈夫ですよね? M:バーとは基本的にゆっくりしていただくための場所ですので、もちろんカウンターでは手をついてリラックスしていただいて大丈夫です。カウンター席は背もたれのないバースツールに座っていただきますので、手をつかない方が不自然ですね。ただ、背筋を伸ばして座る姿勢が美しい方は、お酒を飲んでも崩れないきちんとされている方だな、という印象を受けます。お酒が入るとどうしてもリラックスして後ろにいのけぞりがちですが、姿勢が美しい方とは私たちも仕事がやりやすいです。 O:カウンターにスマートフォンなどを置くのはどう感じられますか? M:スマートフォンは現代では仕方のないこともあるかと思いますが、女性のお客様でハンドバッグを置かれる方を多く見かけます。ここは私たちの作業場でもありますので、バッグはカウンターの下についたフックにかけていただきたいですジャケット類や大きな荷物は入り口でお預かりします。ちなみに海外のお客様はバースツールをジャケットで覆って、その上から座られる方もいらっしゃいます。文化の違いが見えて面白いです。

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O:カクテルは種類も多く、注文をするのに敷居が高い印象もありますが、どんなことを知っておけば良いでしょうか? M:カクテルは基本的にはショートカクテル、ロングカクテル、その間のミドルのロックという3種に分けられます。アルコール度数ですが、ショートは25〜40度、ロングカクテルだと20度~25度ぐらいで、ショートの方がハードになってきます。アルコールの強弱をつけて注文されると、酔いすぎずに楽しんでいただけるのではないでしょうか。バーに慣れた方で、今日はあまり酔いたくないけど、ショートカクテルを飲みたいという方は、ロックグラスに氷と炭酸を入れてほしいという方もいます。ショート、ロングはメニューにも記載しています。私たちは必ずチェイサーを出しますので、一緒に飲みながら、酔いすぎず、味の変化を楽しんでいただきたいです。 O:ちょうど良い滞在時間はあるのでしょうか? M:心ゆくまで滞在していただければと思っていますが、2杯から3杯が目安でしょうか。そのぐらい飲んでいただくと、ちょうど良い酔い具合になるかと思います。食事の前に1杯だけ楽しんで行かれる方もいらっしゃいます。バーのお酒は居酒屋などと比べてアルコール度数が強めになっていますので、気をつけながら飲んでいただければと思います。 O:初めてのお客さまはどんなものを注文するのがおすすめですか? M:お酒がそんなに強くない方でしたら、まずはジントニックが良いかと思います。ジントニックは昔からどんなバーにもあるカクテルです。シンプルですが、お店によって味が違うので、それぞれの特徴もわかるかと思います。ジンがお好きでしたら、2杯目はショートカクテルで同じジンベースのマティーニで、少しずつお酒の原液に近づけていくのも面白いかもしれません。そういった頼み方をされると、私たちも作っていてとても楽しいです。
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O:カクテルやお酒を飲むときの楽しみ方を教えてください。 M:まず香りを楽しみ、その後に味を楽しんでください。味は色からも識別することができます。透明なものは基本的にキリッとしたものが多く、茶色いものは樽の味がついています。1杯目は透明なもの、2杯目は色付きのものを飲まれる時は、チェイサーで口の中を整えてもらうと分かりやすいかもしれないですね。鮮やかな色がついたカクテルでしたら、まず色合いを楽しんでもらえたらと思います。ただカクテルはお酒同士を冷やしながら繋ぎ合わせているので、写真を撮るのに夢中になられて、分離してしまわないよう早めに召し上がっていただきたいです。特にショートカクテルは分離する速度は速いです。 O:カクテルも鮮度があるんですね。ロングカクテルのジントニックに加え、ホワイトマンハッタンを作っていただきましたが、とても飲みやすくて美味しかったです。 M:ホワイトマンハッタンというショートカクテルは、シェリーをベースに、ベルモットと、あとはエルダクラマールをMIXしています。マティーニだとちょっとアルコールが強いかな、という方におすすめです。飲み口はドライですが、シェリーがベースなので。女性の方にも飲みやすい。夏に特に人気のあるカクテルです。

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O:カウンターではマスターとの会話のトピックに悩まれる方もいると思うのですが、どういったものが良いでしょうか? M:バーでは会話が必須ではありませんので、ゆったりと自分の時間を楽しんでいただけたらと思います。“お仕事は何をされているんですか”、などといったプライベートなことは私たちから聞くことはありません。私たちの店はレコードも楽しんでいただけますので、音楽の話も良いですね。 O:おすすめのお酒を聞くのも良いですよね。 M:はい、お酒のことに対して色々とお答えすることもできますし、その中で自分に合うお酒を知っていただけたらいいなと思います。 O:メニュー以外のカクテルを注文する上では、どのような伝え方をするとわかりやすいでしょうか? M:「強めで、キリッとしたドライなものが良い」、「お酒が弱いので、炭酸ものがいいです」など、と言っていただければ、それに合わせてお作りします。色をリクエストされるお客様もいらっしゃいます。特に夏になると青や緑のトロピカルなカクテルも人気が出ますから。「今日は酔いたいので強いお酒を」という方もいらっしゃいます。強すぎて、お客様がひっくり返らないよう、これまでの経験値を生かして調整してお作りします。 O:逆に今日の洋服に合うお酒をください、みたいな注文も面白いかもしれないですよね。ちなみに今日の僕のファッションに合うカクテルはどんなものでしょうか?  M:ワントーンのカラーリング同様、すっきりとしたドライなカクテルはいかがでしょうか。グラスもステムがあると華やかで美しいかなと思いましたので、ショートカクテルをお作りしたいと思います。
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O:他にバーをもっと楽しめる知識や所作はありますか? M:カクテルは基本的にいろいろな器具を使ってお酒を冷やして作るのですが、それをカウンターで見ていただくのは面白いと思います。バーテンダーによって作り方も変わってきます。氷もグラスも違いますし、お店ごとにバーテンダーの仕草を見てもらえると、自分の好きなバーテンダーが見つけられるんじゃないかなと思います。 O:バーで知っていると“通”だなという言葉はありますか? M:ストレート、水割り、ソーダ割、ロックなどウイスキーには飲み方がたくさんありますが、私たちの店ではストレートのことをニートと呼ぶんです。このことをご存知のお客様は、深い知識をお持ちだな、と思います。 O:バーで一番楽しんで欲しいのはどんな部分ですか? M:私たちはお酒とアナログというテーマで営業しています。美味しいお酒と、60年代のアメリカ製にこだわった機材から響くアナログレコードの音をまず体感してほしいです。グラスも木村硝子店のこだわりのグラスを使っています。今はどこのバーに行っても大体このグラスで大体出てきます。木村硝子店のグラスは繊細で薄いのですが、底まで一体なんです。日本の職人さんが吹いて作っているんです。型に流し込んだガラスは繋ぎ目があるんですが、木村硝子店のものにはない。そういったこだわりも感じながら楽しんでいただけるなら、これ以上幸せなことはありません。 O:バーとは豊かな時間を過ごすための空間。その考え方はエストネーションの店舗とも通ずるものがあります。格式高いオーセンティックなバーではなく、インクカクテルズさんのような程よく遊びの効いたモダンなバーに大人の方が遊びに来るのが現代の贅沢だなと感じます。
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Information

INC COCKTAILS

住所: 東京都渋谷区渋谷1-5-6
ラ・コリーナ渋谷B1F
TEL:03-6805-1774
営業時間:
18:00~02:00(L.O 01:30)
https://www.inccocktails.com/

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「照明を落としたバーの空間に映える光沢のあるコットンサテン素材の長袖シャツです。ネイビーが落ち着きと品のある印象を与えつつ、さりげなく艶っぽさも演出できます。高密度な生地に太番手のステッチを加え、パッカリングによる立体感をプラス。ややゆとりを持たせたシルエットは、肩ひじ張らないバースタイルにちょうどよい1枚です」(大場)

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Trousers ¥154,000 / JIIL SANDER

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「ウエストにゴムを備えながらも、クリースやベルトループが入ることで見た目はきちんとした印象に。バーのような“くつろぎながらも少し気を遣いたい”シーンに合う一本です。ネイビーの色合いに加え、生地の程よい光沢が夜の雰囲気にもマッチします。ゆったりとしたシルエットで、座り姿にも余裕が出るバランスの取れたパンツです」(大場)

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「上質なシルク素材に特殊加工を施し、自宅での洗濯も可能にしたスキッパーニットです。控えめな光沢とグレーの色味が、バーの落ち着いた照明とも好相性。リラックス感がありながら清潔感もあり、初対面の人と自然に会話が生まれるような柔らかな印象を与えてくれます。地柄入りの編地で単調にならず、さりげない存在感を持つ1着です」(大場)